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開業の手続きと順番

開業届の出し方と期限、一緒に出す書類

この記事の結論

  • 開業届の期限は、国税庁の今の案内では「開業した年分の確定申告期限まで」。ただし青色申告承認申請書は原則「開業日から2か月以内」なので、開業届と一緒に早めに出す
  • 出し方はe-Taxか書面(税務署に持参・郵送)。e-Taxなら本人確認書類の添付は要らない
  • 人を雇うなら給与支払事務所等の開設届出書(開設から1か月以内)、インボイス登録をするなら登録申請書も同じ時期に考える

開業届は、出すこと自体は難しくありません。迷いやすいのは、いつまでに出すかと、一緒に何を出すかです。特に青色申告承認申請書は期限が短いので、開業届と同じ日に出すつもりで準備するのが安全です。

この記事では、国税庁のタックスアンサーと手続の案内(令和8年4月1日現在法令等)をもとに、個人で開業する人が最初に出す税務署への書類を整理します。

個人で開業する人は多い

日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」で、開業時の経営形態は個人企業が57.0%、法人企業が43.0%でした。

この調査の対象は、日本政策金融公庫が2024年4月〜9月に融資した企業のうち、融資の時点で開業後1年以内だった企業です(回答2,165社)。開業した人全体の数字ではありませんが、半分以上が個人事業として始めていることがわかります。個人事業として始める人が、最初に税務署に出すのが開業届です。

開業届でよくある失敗

事業は始めていたのに開業届を後回しにしていて、事業用の口座を作ろうとしたときに困る、というケースがあります。たとえば楽天銀行の個人ビジネス口座は、事業内容を確かめる資料として、開業届・個人事業開始申告書・確定申告書第一表・各種許認可証のいずれかのコピーを求めています。まだ確定申告をしていない開業1年目の人は、開業届がないと出せる書類が限られます。持続化補助金〈創業型〉でも、個人事業主は開業届の写しを出す必要があり、開業届に書いた開業日が要件の期間に入っているかを見られます。

よく見るのは、次の3つです。

  1. 開業届だけ出して、青色申告承認申請書を出し忘れる:青色申告にしたい年の申請期限を過ぎると、その年は青色申告の特典を受けられません。
  2. 期限に余裕があると思って後回しにする:開業届の期限が延びても、青色申告承認申請書の期限は変わりません。
  3. 税務署以外の届出を忘れる:国税庁も、都道府県税事務所・年金事務所・労働基準監督署などへの届出が必要になる場合があるとしています。

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の出し方

項目 内容
正式な名前 個人事業の開業・廃業等届出書
出す人 新たに事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき事業を始めた人
期限 事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで(土日祝日なら翌日)
出す先 納税地を所轄する税務署長
出し方 e-Taxで提出、または書面を税務署に持参・送付
添付書類 e-Taxなら本人確認書類は不要。書面でマイナンバーを書いて出すときは、本人確認書類の提示か写しの添付が必要
様式 国税庁の「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」のページからPDFをダウンロードできる

e-Taxで出す場合

国税庁は、パソコンからe-Taxソフトで届出書を作って提出する方法を案内しています。e-Taxを初めて使う人は、利用者識別番号を取る必要があります。e-Taxなら、本人確認書類を添付しなくて済みます。

書面で出す場合

国税庁のページから様式をダウンロードし、記入して、税務署に持っていくか郵送します。税務署の総合窓口の受付時間は、令和8年10月1日から原則として午前9時から午後3時までになっています。土日祝日と年末年始(12月29日〜1月3日)は受け付けていません。

控えを手元に残す場合、国税庁の記載要領は、控えにはマイナンバーを書かない(複写で作るなら番号の部分が写らないようにする)よう注意しています。

開業届の書類づくりにサービスを使う方法もあります:弥生のかんたん開業届

書き方で迷いやすい欄

国税庁の記載要領から、開業する人が迷いやすいところを抜き出します。

  • 所得の種類:始めた事業の所得の種類(事業所得など)にチェックを付けます
  • 給与等の支払の状況:届出日現在の給与の支給人員、日給・月給などの区分、源泉徴収する税額があるかを書きます。給与を払い始める日も書きます
  • 青色申告・課税事業者の選択:記載要領は、開業した年から青色申告をする人に、青色申告承認申請書を期限までに出すよう案内しています。消費税の課税事業者を選ぶ「課税事業者選択届出書」の期限は、開業した年の末日(12月31日)です

白色申告でも帳簿は必要

青色申告にしない場合でも、記載要領の「お知らせ」は、事業所得などを生ずべき業務を行うすべての人に記帳と帳簿書類の保存が必要だとしています。白色申告なら記帳がいらない、ということはありません。

開業した年の売上が大きいときの消費税

記載要領は、1月1日から6月30日まで(特定期間)に開業して、その期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、開業した翌年に消費税の課税事業者になるとしています(給与等の支払額の合計で判定することもできます)。その場合は「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を速やかに出します。

一緒に出す書類と期限

国税庁のタックスアンサー「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」に載っている、代表的な書類と期限です。

自分の期限を確認する:開業日を入れると期限が一覧で出る開業日から届出の期限を調べるページも用意しています。印刷できる早見表つきです。

書類 出す人 期限
所得税の青色申告承認申請書 青色申告をしたい人 原則、青色申告をしたい年の3月15日まで。1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内
青色事業専従者給与に関する届出書 家族に給与を払って経費にしたい人 原則、経費にしたい年の3月15日まで。1月16日以後に開業した場合などは、その日から2か月以内
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 人を雇って給与を払う人 開設の事実があった日から1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 給与を払う人が常時10人未満で、源泉所得税の納付を年2回にまとめたい人 随時(原則、提出した日の翌月に支払う給与から)
棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書 評価方法・償却方法を選びたい人 事業を開始した日の属する年分の確定申告期限まで
適格請求書発行事業者の登録申請書 インボイス登録をしたい人 開業した課税期間の初日から登録を受けたい場合は、その課税期間中

青色申告承認申請書の期限の例

1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内です。たとえば、5月10日に開業した人なら、7月10日までが目安になります。開業届の期限(翌年の確定申告期限)よりずっと早いので、開業届と同じ日に出すのがいちばん忘れません。

青色申告にすると、帳簿のつけ方などの要件を満たせば青色申告特別控除を受けられます。65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳に加えて、e-Taxでの申告か優良な電子帳簿保存が必要です。会計ソフトを選ぶときは、開業1年目の会計ソフトの選び方も見てください。

インボイス登録をするかは、取引先で決める

インボイス(適格請求書)を求められる取引先が多いなら、登録を考えます。国税庁によると、適格請求書発行事業者の登録を受けていると、消費税の納税義務は免除されません。登録するかどうかで、会計ソフトのプランや確定申告の手間も変わります。

開業届を出す前のチェックリスト

  • 開業日(事業を始めた日)を決めた
  • 屋号を付けるか決めた
  • 納税地(自宅か事業所か)を決め、出す税務署を調べた
  • e-Taxで出すか、書面で出すかを決めた
  • 青色申告承認申請書を一緒に出す準備をした
  • 家族に給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書を用意した
  • 人を雇うなら、給与支払事務所等の開設届出書の期限(1か月以内)を確かめた
  • インボイス登録をするかを決めた
  • 都道府県税事務所や市町村への届出が必要か、自分の地域の窓口で確かめた

開業届のあとにそろえる道具

開業届を出したら、次は事業用の口座と会計ソフトです。プライベートと事業のお金を分けておくと、帳簿をつけるときも確定申告のときも、作業がずっと楽になります。会計ソフトは、青色申告の65万円控除を受けるならe-Taxで申告できるものを選びます。

帳簿の準備を開業届と同じ時期に始めるなら、どのプランでも消費税申告ができ、2027年3月15日までの申し込みならセルフ・ベーシックが初年度無料のやよいの青色申告オンラインが、1年目の費用を抑えやすい選択肢です(2026年10月時点)。

まとめ

開業届は、国税庁の今の案内では開業した年分の確定申告期限までに出せばよい書類です。ただし、青色申告承認申請書は原則として開業日から2か月以内です。開業届と青色申告承認申請書を同じ日に出し、人を雇う予定やインボイス登録の有無に合わせて、ほかの書類も一緒に確かめてください。

出典